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100-103_悪役のエンディングは死のみ ネタバレ本編完結

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「私、行きます」 私は決心したように答えた。 あれがある限り、けがをしても死なないだろう。 「気をつけて」 鉄塔の中はよりによって果てしない階段でできていた。 私は息を切らしながら昇り始めた。 あけられた窓の向こうに皇太子が竜にぶら下がったまま、揺れるのを時折目にしたが、努めて階段だけを眺めて走った。 ついに階段の終わりが見えた。 監視所として使われたのか、鉄塔の一番上は狭くがらんとした部屋一つだけだった。 イヴォンヌは穴のあいた窓の上に斜めに座り、興味深い表情で外を見ていた。 青い光を放つ鏡を大切に抱きしめながら。 「来たの?」 ちらっと私を見た彼女が爽やかな挨拶をする・ 「はぁっ、はぁっ・・かくれんぼは終わった?」 「ネズミ捕りのことならまだ進行中だ。  よくも死なずにここまで来たな、ペネロペ。私は以前のように君が逃げると思ったのに、意外だった」 「なぜイクリスを殺したの?」 イヴォンヌに会ったら真っ先に聞きたかった。なぜ男主人公を殺したのか。 それでもヒロインではないか。たとえ「隠れエンディング」で世界を滅亡させたとしても、悪役を殺して皆の愛を勝ち取った勝利者だったではないか。 なのにどうして・・・ 「私が、イクリスを?」 けれども私の問いに、イヴォンヌは大げさに驚いた顔をして、大笑いした。 「あはは!違うよ、ペネロペ。イクリスは私ではなく、君が殺したんだよ」 イヴォンヌが笑ってもれた涙までぬぐいながら付け加えた。 「君のせいで、竜の爪に刺し殺されたんだよ」 「竜は君が操っているじゃないか。途中でやめればいいのに、なぜ・・?」 「そんなお前は?どうしてあの子を愛さなくて、死地に飛び込むようにしたの?」 「え?」 「偽りでも好きだといってくれれば、君の望み通りにしてくれると言ってたじゃないか。その簡単な方法になぜ従わなかったのか」 本当にわからないという表情をするイヴォンヌの姿に、私は歯を食いしばった。 彼女のノーマルモードでの行動が思い出された。 洗脳と偽りの愛を囁いて他人事を利用し、彼らの幸せが絶頂に達した時、皆を殺してしまったのだ。 「私はあなたとは違うから」 答えは簡単だった。イクリスを利用したとしても、原因も目的もすべてがイヴォンヌとは違った。 「最後まで嘘を利用して殺す気がないんだから、切るのが当たり前じゃない?」 「冷たいね。そのおかげで面白い有様を見物できたのよ。かつては虚しいほど簡単に死んでしまったあなたが、今でも生き延びて、はかない希望を抱き、虫のようにもがくのが面白くてたまらないわ。  死ぬべきだともわからず、他の人間の命にだけこだわるなんて残念だな」 イヴォンヌは私を挑発するように言ったに違いない。 ところが不思議なことにだんだん頭が冴えてきた。

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