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90-92_悪役のエンディングは死のみ ネタバレ

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「殿下!殿下!」 誰かが慌てて皇太子を呼んでいた。 彼の親衛隊の一人がそそくさと駆けつけてきた。 「緊急事態です!」 「どうした?」 「反乱軍が二日前の明け方、皇居を奇襲して太陽宮を占領したといいます」 「なに?それがなぜ今になって伝わったんだ?」 「そ、それが・・・やつらが真っ先に太陽宮を奇襲し、こ、皇帝陛下が人質に取られていらっしゃるものと推測されます」 皇太子が失笑した。 帝国の皇帝が起居する宮が一番先に陥落したとは、話にならないことだった。 「近衛隊と皇居に残った魔法使いのやつらは、その時間寝ていたのか?留守番の犬にも劣った奴らだ」 自分の過ちでもないのに、騎士が面目ないかのように頭を下げた。 「その使い物にならないやつらはいい、皇居の防御結界は・・・。そこまで突破することはできなかったはずだが」 「反乱軍たちと内通し、結界を破壊した勢力があるようです」 「謀反を企てた人たちがいるのか?」 「奇襲前、エレン侯爵の勢力が急いで皇妃宮に入宮したことが確認されました」 エレン侯爵は皇妃の外戚だった。 「なんだよ、じゃあ、2皇子派が反乱軍と手を取り合って謀反を?  あの時、あのデルマンの不意打ちはごまかしだったね」 「どうも魔物を持っているわりには攻撃がパッとしないと思ったら・・これのために足止めしようとしたのか」 彼の言葉にふと脳裏をかすめる場面があった。 __思ったよりやつらの戦力が強いです!このままでは魔物たちを全て失うこともあります!もう、本来の作戦通りに進めるのが・・・ イクリスに拉致された頃、慌てたデルマン軍人が叫んだ言葉だった。 それなら結局、今の自体はレイラ・イヴォンヌの命令の下で起こったという話だった。 帝国を手に握らせるなんて・・冗談を言った時から知っておくべきだったのに。 イクリス、反乱軍、エレン侯爵、謀反! イヴォンヌは一体どこまで手を伸ばしたのか・・・ カリストは騎士に北方に知らせたのかを確認した。急いで首都に向かっている途中だという。 たとえセドリックの指揮下にある兵士を率いてきても、すでに反乱軍が皇居を陣取っている。堅固な防御結界まで備えられた攻城戦は容易ではない。 その時・・ 「エカルトで兵力を支援します、殿下」 公爵が毅然とした顔で言った。 「・・・本気か?」 「国が困窮しているのに、じっとしているわけにはいかないのです」 「意外だね、戦争をする時は最小限の兵力も支援しなかったあなたが・・・」 公爵の答えに皇太子が意外そうに呟いた。 今回の征服戦争に参加すらしなかったエカルトだからだ。 「今の公爵の発言、私を支持するということと見ていいのか?」 「もちろん、そうではありません。エカルトにもエレン侯爵に負けた借りがあるからです」 「借り?」 「あいつが狩猟大会であえて私の娘を陥れようとして、鼠小僧のように抜け出したじゃないですか!」 その時公爵は、エレン侯爵を破門にしようとしたが失敗した。 しかし、皇太子が積極的に乗り出したおかげで、領土の半分は奪うことができたそうだ。 狩猟大会以来、そんな裏話があったとはまるで知らなかった私は、ただ二人のやりとりを眺めていた。 「エカルトは絶対に参加します!」 「じゃ、よろしくね、公爵」 皇太子が手を差し出すと、公爵がさっとその手を握った。 瞬く間に二人の同盟が成立した。 大雑把に公爵と対話を終えた皇太子は、すぐに私のところにやってきた。

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