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84-86_悪役のエンディングは死のみ ネタバレ

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ヴィンター・ベルダンディは日が暮れることになってようやく路地に入った。 一日中、全国津々浦々歩き回ったせいで体が疲れているようだった。 それでも彼は休めなかった。 集めた文書と情報を有用なものを分類し、整理し、古代文字を解析しなければならなかった。古代レイラに打撃を与えるのは古代魔法だけ。 しかし、激しい戦争の末、古代魔法使いは命脈が絶たれ、彼らが使った魔法は死蔵された状態だった。しかも長い間、息を殺したまま力を育ててきたレイラに対敵する単純な力、それ以上が必要だった。 ヴィンターは全国を回りながら古文書を集めていた。 真実の鏡を作り直すために。 一番奥深く陰気な場所にある彼の商会は、すでに暗くなっていた。 ドアノブを握って静かに呪文を唱えるとロックが外れた。 上部のドアは彼が指定した依頼人を除いては誰も開けることができない魔法がかけられていた。 一歩中に踏み入れた頃、彼はぎょっと歩みを止め、鋭い視線でどこかを睨みつけた。 「どなたですか?」 テーブルとソファ越しの奥深く、暗がりから誰かが一歩一歩歩いて出てきた、 「やっとおいでになりましたか。依頼にあずかりに参りました。」 か弱い声は全く脅威とならなかった。 しかし、ヴィンターを眺める瞳が奇異に輝いた。 「いや・・・忘れ物を取りに来ました」 「・・・・」 「ベルダンディ侯爵様」 沈黙していたヴィンタはすぐにドアを閉め、中に入った。 外を危険要素から遮断するためだった。 幸いドアを閉めても窓から差し込むかすかな月光によって区別できるほどだった。 にも関わらず、一切イヴォンヌのいるところだけ真っ暗な闇が立ち込めていた。 「私のものを返してくれませんか?」 「レディー、何を行っているのかわかりません。今日はあまりに遅いので、明日またくるのが・・・」 「私があとどれくら侯爵様に失望しなければなりませんか?  私が、私が村でどんなに辛く暮らしているのかを全部見たでしょう?」 イヴォンヌがむせび泣いた。 「そして・・私がエカルト工作毛の失われた公女だということをすべて知っていながら・・・、どうしてそんなに冷たく私を見捨てるんですか?」 ヴィンターはその瞬間はを食いしばった。 必死に背を向けてきた自分の罪。 本物の公女が戻ってくれば、傷つくペネロペのために。 イヴォンヌが侯爵の実の娘であることを知りながら、何も言わなかった。 「魔物の襲撃を受けた時、私は本当に死ぬところでした。侯爵様、怪我をした額がとても痛かったです。しかし、怪我よりもっとつらかったのは・・侯爵様が理由なく私と距離を置き始めたということ。」 「・・・・・」 「なぜそれ以降、ボランティア活動をしに来なかったのですか?待ってましたよ」 ソレールからペネロペを家に送った直後だった。 「公爵邸にきて以降、成人式で侯爵を見て、私はとても嬉しかったのですが・・どうして私を偽の公女を殺害した犯人においやることができますか。どうして私に・・。残忍なやり方をなさるかもしれませんよ」 何も言えないまま静まり返ったヴィンター。 イヴォンヌの目から涙がポタポタと落ちた。 ヴィンターは静かに目を閉じた。彼女のあの涙いっぱいの青い目を見るt、なんでも聞いてあげたかった時があった。 しかし、ある瞬間から、それは乾いた青緑色の瞳で覆われ始めた。 みんなが自分を信じてくれないことをすでに知っているかのように、諦めを越えて無情でさえあったその目つき。 「あなたが怪我をしたのは魔物のせいではなく、ソレイルでペネロペ令嬢が使った魔法のせいでしょう」 「え_その、どうしたの・・・」 「魔物に襲われた人々のほとんどは患部が広く、出血量が多い方でした。それに比べると、あなたは発見当時、傷がついた額を除いては軽い打撲傷だったことをすでに確認しています。まるで・・落ちた何かに殴られたように・・」 魔物でなければ、何がイヴォンヌを傷つけたのか。 ペネロペが使った広域魔法で洞窟が崩壊し、その残骸によるものなら前後がぴったり合うから。 レイラという新しい前提ができた後、ヴィンターは彼女の行動調査からやり直した。 すると、不思議な点が一人や二人ではなかった。 もともと住んでいた村ではなく、かなり離れた村で突然現れた魔物の群れに襲撃された彼女。さらに襲撃された日がこともあろうに、ソレイルでの出来事が起きた直後だった。 「ベッキーというメイドを通じて毒を求め、自作自演をそそのこかしたこともすでに知っています。魂は嘘をつかないから」 公爵邸の庭での会話の後、途方もない魔力を消耗し、霊魂召喚術を行った彼は凄惨たる気持ちを禁じ得なかった。 なぜもっと早く彼女を信じなかったのか、今すぐにでもこの事実を公爵邸に明らかにして、濡れ衣を晴らしてあげたかった。 しかし、彼は最後までできなかった。 帝国でタブーの召喚術を使ったこともあったが、ペネロペが決定的に望まなかった。 彼女は、すぐにでも公爵邸を去らなければ行きが詰まって死にそうな顔をしていたのだから。 「まだ何かおっしゃることはありますか?」 「その、そんな、私はそんなことを・・・」 イヴォンヌが涙声でもう一歩前に出た。 影に隠れていた残り半分の顔が現れた。涙がぽたぽたと流れていた反対側の顔とは違って、もう一方の顔は鳥肌が立つほど無表情だった。 「だまされないな。だったらつまらない仮面遊びはやめて、本論でも言いましょう  私のもの、返してください」 「何を探しているのかわかりませんが、私は知りません」 「全く同じですね・・反応が。  ペネロペ、あの子も同じように言いました。そして私に食われる直前にあたふたと逃げたが」 ___私、お屋敷で洗脳されたの。途中でかろうじて阻止して逃げてきたんだ イヴォンヌの言葉が終わると同時に、ペネロペの行ったことが耳元をかすめた。 「こっそり邸の外に出したら、私が知らないと思ったでしょ?そうるするつもりなら、私の兄がここにきたことがバレるかな、かわいそうにも・・」 「・・・・」 「返して、私の彫刻」 「私は持っていません」 「じゃあ、これはどう?」 彼女はにっこり笑って、片手でポケットに突っ込んで何かを取り出した。 光に反射して輝くもの、鏡の彫刻だった。

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