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81-83_悪役のエンディングは死のみ ネタバレ

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「公女、未だ!こいつと森の方へ走れ!早く!」 カリストは私の背中を押して身をかがめた。 「責任ある安全なところまで公女を移動させなさい。君の手に皇太子妃の命がかかっている。わかったか?」 「はい、はい!」 魔法使いがとんがり帽子を揺らした。 「殿下!奴らが2回目の射撃を準備中です!」 セドリックが切迫して叫んだ。 皇太子は軍に隊列の指示をし、一瞬にして皇太子を中心に集まった騎士たちが盾を上に持ち上げた。 しかし、このような隊列も長く続かないことは明白だった。 傾斜すらない、四方が空いている高台は隠れるところがなかった。 「行ってください、お嬢様!」 「何してるの?早く行け!」 すんなり足が遠のかなかった私を見て、カリストが怒鳴りつけた。 そばで助けたいが、魔法が使えると行ってくれた鏡棒は何の気配もしなかった。 覚えているいくつかの残酷な魔法の呪文を小さな声で吟味してみたが、反応がなかった。 そして、火を吹きながら何匹か、飛んできた魔物によって硬く固まっていた隊列が乱れるのは一瞬だった。 私の隣に立っていた魔法使いが、近づいてきた魔物の爪に捕まり、瞬時に消えた。 「くそっ!頭をさげて、公女!」 魔物の上の敵を討ち取った皇太子。 なぜ射撃が止まったのか疑問に思っていた。 上空から矢を放って簡単に滅殺できる戦術が、汚い肉弾戦に変わってしまったから。 しかもさらに敵軍の群れは上空で待機していた。 私は再び小さく呪文を唱えてみたが、なんの反応もなかった。 気づくと、私の方に魔物の爪が迫っていた。 反射的に鏡棒を両手で持って前をふさいだ。しかし、間近に迫った魔物の爪は、まるで私が目標ではないかのように鼻先で方向を変えた。 そして、隠れた魔物の頭の後ろにいきなり腕が突き出た。 私は悲鳴をあげる間も無く、その腕につられて魔物の上に立った。 驚いて凍りついた体が、他人の硬い胸にぎゅっと抱えられた。 「見つけた」 頭の上で陰鬱なささやきが聞こえてきた。 聞き慣れた声だった。 私はゆっくりと顔を上げた。 私を攫ったのはここにいるとは思ってもみなかった男だった。

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