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57-60_悪役のエンディングは死のみ ネタバレ

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ヴィンターは本来、成人式の当日、女主人公を連れてくるほど、彼女に心を注ぐキャラクターだった。 依頼を強要した私を見て、彼は今何を考えているのだろうか。 その時だった。 私が釘付けになっていた彼の冷たい視線がすっと下に落ちた。 彼は私の顔ではなく、ドレスの方をじっと見た。 それにつられて視線を落とした私は、彼が何を見ているのかに気づいた。 公爵との会話のために、ネックレスをはずすのをすっかり忘れてそのままにしてきてしまった。 完璧な身なりには似合わないアクセサリーだった。 どうしよう、今からでも取るべきか・・ もちろん大したことはないだろう。瓶は部屋においてきたから。 どうしようかと葛藤していた瞬間、ふと目の前が暗くなった。 「公女」 聞き慣れた声に、私はゆっくりと顔を上げた。 太陽の光を受けた金髪がゆらゆらと揺れていた。 「殿下」 来るなと言ったにも関わらず、とうとう私の成人式に参加した男の姿に笑いが出た。 カリストは赤いマントをなびかせて堂々と現れた。 「帝国の小さな太陽にお目にかかります」 私は俯いて黙礼した。 挨拶にも答えがなかった皇太子は、しばらく経ってから口を開いた。 「・・・頭を上げろ」 「知らないふりをしてと言ったのに・・」 「美しいね」 気乗りしない態度にすぐに突拍子もない答えが返ってきた。 私は一歩遅れて彼の言うことを理解した。 来ないと思って着たドレスだが、プレゼントをくれた当事者が登場すると戸惑いを覚えた。 目を合わせることができず、途方にくれる自分の姿にも皇太子は意を介さず口にした。 「想像したよりももっと・・・  私の目にだけ見えるのかなと思ったが、周りを見ると男の視線が皆こちらに集中していた」 彼は無表情に私を見つめながら、無愛想に言った。 くすぐったいことを言う皇太子の姿に驚きもつかの間、こんな無味乾燥な褒め言葉はまた初めてで、また笑いが出た。 私は黙々と彼の贈り物と称賛を受けることにした。 「褒めすぎでどうしていいかわからないですよ」 「冗談じゃないよ、公女」 彼は私の方にそっと頭を下げて囁いた。 「あいつらの目つきを遮りたいのに、かろうじて堪えているんだ」 「食事が終わるまで辛抱してください」 「それが今日の主人公が言うことか」 「それとも私がいないところへ連れて行ってください」 カリストがようやく、殺伐として硬直していた表情を和らげニッコリち笑みをこぼした。 「そうよ、あなたは残酷なのが嫌いだから」 こくりとうなずいていた彼がふと聞いた。 「私のプレゼントは届いた?」 「はい、たくさんあるので、全部使えるのかわかりませんが、とにかくありがとうございます。殿下」 そしてふと、彼の視線が私の胸元に注がれた。 「それはこの前のソレイルでしてたものじゃない?」 「え?」 彼が指摘したのは、ついさっきまで悩んでいた古代魔法のネックレスだった。 「へんちくりん  何でそんなに大事にしてるの?」 「着用者の身を守ってくれるそうです  周りに危険があると、真ん中の玉の色が変わると言うが・・・」 毒性や魔法の性質の変化を察知するものだったが、私は遠回しに言った。 そして私はネックレスを外すことを選んだ。 ところが、外そうとした瞬間、カリストが私を阻止した。

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