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セイラック~山と川と釣りの物語 vol.6+ 遠野郷のヘンリーズフォークⅡ

セイラックが店を閉じて3年

その洋館は、いつもと同じようにそこにある。 扉はかたく閉ざされ、そこが3年前まで釣具店であった痕跡はどこにもない。 その店は3年前の春に店を閉めた。いや、正確に言えば、閉店したのかどうかすら、僕にはわかっていない。 分かっていることといえば、3年前の冬にはまだ、ちょっと風変わりな釣具店として営業をしていて、次の春以来、開いているところを見たことがないという事実だけである。 扉が閉まっているだけで、内部は3年前と同じように釣具やアウトドアの道具でいっぱいになっているのか、それとも全て運び去られただの空き家なのか確認する術もない。 分からないといえば、店主の言幸さんが今どこでどうしているのか、それも不明だ。僕にとってのセイラックは消え去ったままだった。 まるで今まで地球上のどこにも存在しなかったかのように。

2004年、春

渓流が解禁になって最初の日曜、僕は遠野に向かった。 まだ水温も低いから、それほどいい釣りができるとは思えないけれど、それでも透明な水に浸かってロッドを振りたかった。 小さなヤマメかイワナが1匹釣れればそれでいい。そう思ってアクセルを踏んだ。上流部へ行ってもダメだろうから、猿ヶ石川の支流の里川で釣りをすることにした。 ウエダのバックウォータースペシャルにカーディナルの33を付ける。この緑色のカーディナルは、10年ほど前にマミヤOPが復刻した年に購入したものだ。

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