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セイラック~山と川と釣りの物語 vol.6 北海道の湖、アンバサダー5500

看板もない洋館の中は珍しい釣り具であふれている

これは、東北の城下町にあるセイラックというプロショップと、そこでぼくが出会ったルアーやそれに関する話である。 この店は釣り具とアウトドアの店だが、外観はただの洋館である。中に入るまで、そこが店舗だということには全く気がつかないだろう。そもそも店の存在を知っている人が極端に少なく、いつ行っても店内が閑散としているので経営の方が心配なのだが、まあそれはぼくには関係のない話だ。 店内には、現行製品と古い釣り具や中古品、何に使うのか分からないような道具、ここ5年くらいは売れていない品などが、ほとんどはそのパッケージの上部にうっすらとほこりをかぶったまま並んでいる。 店の棚を占める商品群は、見事なまでに主観によって選ばれているようだ。商品を選ぶ基準には、売れスジとか、人気商品という言葉はないらしく、個人の趣味、つまりは店の主人の好き嫌いが極端に表現されている。 写真を撮る、文章を書く、演技をするというのは自分を表現する手段であるが、店の品揃えによって、その経営者がひとりの表現者になり得るということを、この店は教えてくれる。 店内に大手メーカーの商品や新製品は少ない。 スウェーデン製のアブ・トビーはたくさんあるけれど、ダイワのクルセイダーは3個くらいしかない。 9ftのロッドは何種類もあるけど、管理釣り場用ロッドは1本もない。 スミスのピュアとラッキークラフトのステイシーは1個もないけど、ウェイビーの5㎝とハンプバックミノーは山ほど置いてある。

外国製の渋いルアーも多く、ピクシー、リトルクレオ、オークラ、それにメップスのスピナーも多数ラインナップされている、とまあこんな具合だ。 店の主人は言幸さんといい、名字は彼との約束で書かないことになっている。「ことゆき」なのかもしれないけれど、ぼくは「げんこうさん」と呼んでいる。言う=SAY(セイ)、幸=LUCK(ラック)で、セイラックという名が付いたのだという。 神奈川県の小田原市には、「聖楽堂」というちょっと変わった本屋さんがあるらしいが、そことは店の名前が似ているだけで全く関係がない。

アンバサダー5500C

セイラックでぼくは過去に、フレッドアーボガストのマスキージタバグ、ティスクのウトー、ルブレックスのオークラ、ヘドン・タイガー、アブのドロッペン、クサモンのレトケなどを買い、オークラで生涯初めてのサクラマスを釣り、タイガーでは巨大なアメマスを掛け損ね、川でなくしたドロッペンと店で出会うといったような不思議な体験をした。 それらの話が、今までのこの連載に書いてある。 アブのベイトリール、アンバサダー5500Cを見つけたのは、昨年の春のことだった。そのアブはセイラックに唯一あるガラスケースの一番下の段の奥に置いてあった。もちろん新品ではなく、使い込まれた跡があった。

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