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二浪日記141もう無理142母、感情的になる143それは致命傷144たとえ藁でも

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141話 もう無理。どこにも受からない。わからない。

火曜日は東京の教室で英語の予定だけど キャサリンの都合で休みだった。 英語の授業は月に8回の予定で、5週目は休みだ。 でも 必ずしも5週目の授業が休みとはならずに、 キャサリンの都合でいろんなときに休みになる。 9月の頭にまとまって英語の休みがあり、 そのときにイチローは思いきりリズムを崩したのは記憶に新しい。 だから 「火曜日英語休みだって。」 と聞いたときはドキッとした。 でも火曜日になってみると、 台風も近づいてきていたし、 イチローは疲れ気味だし、 ちょうど良かったかもね、と感じていた。 イチローはここのところ、 非常にモチベーションを下げていた。 二浪をスタートしてから、 あまりひどい愚痴やボヤキを聞いてこなかったが、 今回はひどい。 風邪をひいて体調が悪かったり、 単に寝不足だったりで、 疲れがたまっていただけかもしれないが、 マイナス発言ばかりが続いていた。 日曜日にはそれがピークに達したのか、 まるで 自分で自分にゴーレム効果の魔法を かけているかのようだった。 「もう無理」 「どこにも受からない」 「わからない」 等を繰り返えす。 しかもそれらの言葉の間に、 大きなため息と絶望的な表情を挟み込みながら。 そして結構声も大きい。 なんなんだ。 突然。 何かあったのか。 しばらくは さわらぬ神にたたりなし と言う感じで 反応せずに放っておいた。 腹でも減っているのか?ととりあえず食事を出した。 こんな時はステーキだ。 男は肉を食わせると黙ることが多い。 私は 料理 というより 大きさだけが取り柄の(つまり安物の)肉を 塩コショウで焼いただけという食事を彼の前に置いた。 食事の前にとりあえず彼は豪快に鼻をかんだ。 秋の花粉だが、風邪だか知らないが、 体調はイマイチのようだ。 そして黙々と食べ始める。 結構食べる。 これが ガツガツ だ、と言う感じで。 食欲はあるようだ。 でも食事が終わっても、 彼のブルーな気分は変わらなかったらしく 変わらず絶不調をアピールしてくる。 これはもしかすると、 何かあったのか私に聞いて欲しいのか?と思い 声をかけてみることにした。 とりあえず 一番無難な線で 「化学が解けなかった~?」 と聞いてみた。 日曜日はイケメン先生と4~5時間数学をやった後、 W大の有さんと 3時間~化学をやっている。 化学は9月から始めたばかりだが、 有さんの都合で先週休みだったのだ。 たった1回休んだだけなのだが、 カレンダーをよく見ると半月位何もしないことになり、 もしかすると、 イチローは化学のイロハを全部忘れて 振出しに戻っちゃったのかもしれない。 前述の私の質問に対する答えがこれだ。 「もう無理。Wなんて無理だし、 それ以外のとこも受かる気がしない。」 イチローは返事になっているような、 なっていないような言葉を返してきたのだった。 「ま、化学はないところがほとんどだから。」 と、私も 的を射ているのか、 的外れなのかもわからない返事をする。 イチローは続ける。 「化学だけじゃない。何もかもだめ。」 これはもうただのボヤキだろう。 続けてもいいが水掛け論だ。 水掛け論を避けるためにはイチローを問い詰めて、 何がどうダメなのか、 白黒はっきりさせるというのがあるが、 例え白黒ついたところで何も解決しない。 それが解るのでただ受け止める形で相槌を打ってみる。 「Wは難しいよね。」 「もうダメ。なにもわからない。」 「わからないんだね。」 「全部わからない。なにもかも。」 「そうなんだ。確かに難しいもんね。」 「たとえここを切り抜けて受かったとしてもその先が無理。」 「そうか。でも合格出来たのなら大丈夫なのじゃない?」 「だめ。中学受験でも経験済み。入ってからなんとかなんてならない。」 これはもう、愚痴なので、 説得しようなどとしてはいけない。 しばらく何をどう話してみたところで 堂々巡りになるだけだろう。 まあ、吐き出したいことがあるのなら、 ぞんぶんに吐き出していただき、 ご飯を食べたなら寝るしかない。 イチローはここのところ、 体調を崩したので、疲れてしまったようだった。 深夜まで勉強を続けられずに寝てしまう。 当然、やるべきことが終わっていない。 仕方なく、朝早く起きて出発ギリギリまで課題をやって 慌てて塾へ駆け込み、 塾へ到着するやいなやそこでまた勉強する。 いつもは授業の後少し居残りをして 、英語の課題などをやってくるのだが、 朝から(彼にとっては早朝から)やっているので、 もう無理で帰宅する。 帰ってくると もう ヘトヘトで  また課題をこなせずに、寝てしまう・・・。 そして朝、早く起きて・・・。 「朝起こして」と最近よく頼まれる。 要するに体調を崩したのが引き金で 生活リズムも崩してしまっていたのだ。 早めに寝て、早めに起きると言うことは  一見よさそうに見えるのだが、 やることを残して 床に就くと言うのは 追い詰められている彼にとっては 安眠できないものらしく、 本人は相当疲れているのに なかなか寝付けないようだった。 寝たと思っていたのに、結局  「寝れない」 といって 深夜に起きだしてきたりする。 ようやっと寝付いても、 何かに追いかけられている夢や、 英語ができなくて、 一所懸命やっているのに覚えられなくて 疲れ切って絶望している夢を見てしまうのだという。 それでそのまま朝になる。 どこまでが夢でどこからが現実なのか しばしもうろうとするが とにかく起きて勉強しなくてはならない。 そりゃ大変だ。(@_@) でも、受験生なんて、 多かれ少なかれこんなものではないのか。 化学を見てもらっている W大の有さんも 一浪時代は根を詰めすぎて 円形脱毛症になりかけ、 自分でもヤバいと思ったと言っていたっけ。 イチローは有さんの1/5くらいしか勉強していないが そもそものキャパシティが違うので、 横並びに見るには酷で、 イチローはイチローなりに一杯一杯なのだろう。 「寝れば?」 私は言った。 「何にもやっていない。」 イチローは言った。 「寝れば?」 私は言った。 「・・・寝る。」 イチローは寝た。

最近「マリちゃん寝てばっかりでずるい、ってよく言われるの

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