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目の前の嫌いなヒト(小説)

 目の前に嫌いな人が座っている。こいつは顔立ちがよく、スタイルもいいので、女性から声をかけられることが多ければ、告白されることも多い。一ヶ月も告白されたと聞いた。ただ、こいつは無口な上に、自主的に何かをするような性格ではないので、何かをするときは決まっていつもおれが連れ回す形になる。  というかそもそもどうしておれはいま、こいつと飯に来ているんだ。毎回、まともに美味しく食べることもできなければ、たくさん食べることもできねえのに。くそ、しくった。眉間にしわを寄せながら、目の前にある並の牛丼を一口食べる。目の前のやつは携帯をしきりに気にしては、誰かとメッセージのやり取りをしていた。その光景を見ると胸がざわざわして、無性に苛ついてしかたがない。  あ、くそ、まただ。いっけね、とひとつため息を吐く。普段何を話していたんだっけな、とご飯粒を口元につけたまま、目の前にいるやつを凝視する。そうだ、こいつ、無口なくせに愚痴を吐くやつだった。箸を丼ぶりの上に置いて、口の中に入っている牛肉を水で無理やり胃に流し込む。 「おい、最近どうなんだよ」

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