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心霊体験記 鬼女と化した遊女

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(・・・・随分と遠くまで来たな) 草鞋の裏がかなり痛んで、そろそろ駄目になってきていた。 幸いかわりの草履は持っていたが、そろそろ夕刻になろうともしていた。 「野宿するにしてもどこかで宿を得るにしても宿場町に入りたいものだ」 ぽつりと呟いて、傍にもう誰もいないことに気が付いた。 「そうだったな・・・・二人とも、元気にしているだろうか?」 着物の袖に隠し持っていた女物の簪を取り出して、ぽつりと呟いた。 旅の途中で別れた彼の大切な二人のことを思い出したのか、少し寂しげな顔になった。 それから何かを吹っ切るかのように前を向いたあと、愛おしそうな目で簪を再び懐にしまった。

憑き物

宿場町は賑わっていた。 海の街道沿いにあるこの町はあちらこちらから物資が集まり、それをまた別の場所へと持っていく船などが行きかっている港町に近かった。 近いと言ってもここから歩いて一日はかかる。 馬ならばもう少し早いかもしれないが、荷物を運ぶ大八車などならば二日はかかる。 それでも、内陸部の農村からきた者からすれば近いという感覚にはなる。 「御免、誰かいないだろうか?」 宿を取ろうとして宿屋に入ったが、誰もいなかった。 それどころか帳面を放り出してどこかに、おそらく奥に引っ込んでしまった気配さえあった。 「誰かいないか?」 仕方なく奥に向かって大声で声をかけた。 こういう場合、大概大きな声を出してもなかなか出てこないと言うのが当たり前だったが、この時は違っていた。 駆け寄ってくる大きな足音がして、店主らしき小太りの男が置くから出てきた。 「はいはい、なんでしょう?」 「すまぬが一夜の宿を願いたい」 これは何かあったと、すぐに察知した。 普通なら顔見知り以外の相手は客というのが当たり前だが、そのことを忘れて「なんでしょうか?」と相手に聞く者はいなかった。 「あ、はい。ですが・・・・」 「宿代ならば前払いで頼む」 一目で旅の者と、それも浪人とわかる格好だった。 そうなると宿代を踏み倒されるのでは?と警戒されるのは当たり前のことだった。 この地方は知らないが、場所によっては平然と宿代を踏み倒して当たり前という者達が多いと聞いていた。 酷いと用心棒という形で長期逗留するという者もいるという。 そんな心配をされたのではたまったものはではないから、無用な心配と警戒をされるのはやめて欲しかった。 「いえ、そういうのではないのです、ただ・・・」 「何かあったのか?」 「はい、その・・・・」 ちらりと、腰に差している刀をみて、言い淀んだのを見逃さなかった。 「乱暴狼藉の類が心配なら預けるが?」 「いえ、そのような!! じつは・・・・このようなことをお話しするのはどうかと思いますが・・・・」 「なんだ、言って欲しい。 何ができるかわからないが手助けできることはする」 簡潔に言うと腰に差している刀を鞘ごと抜いて、店主らしき宿の者に差し出した。 「心配なら預ける。 この通り丸腰だから乱暴狼藉の類をすることはない、遠慮なく話して欲しい」 「そこまでいわれるのでしたら・・・・ちょっと、奥へ来ていただけますか?」

遊女

鬼女

封印

二観音からの要請

封印されていた鬼女

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