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オタクの恋。3

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そうこうしているうちに季節は夏になって僕とユノ先輩は夏休みも一緒に過ごす事が多かった。 とは言っても、演劇部は全国高等学校演劇大会 に出場する事が決まっていたのでユノ先輩は殆どの時間をを部活に費やしていた。 先輩は三年生だったし最後の大会になるから力が入っていたんだ。 僕はその練習を見に通った。 もちろん自分の部活動が終わってからだけど。 先輩の演技を見るのは好きだ。 不思議とユノ先輩の世界感に入り込んでしまう。 「先輩は役者になるの?」 「ん?そうだな…役者でやっていけたら何よりだけどな。そんな簡単じゃないだろうな。」 「でもユノ先輩の演技なら。」 「演技なら?」 ユノ先輩が僕の顔を覗く。 何を言わせたいのか。 「顔がスケベです。」 「どんなんだよっ。俺の演技はどう?言って。」 「別に。」 「素直じゃないな。」 素直じゃなくて結構。 僕は恥ずかしくてユノ先輩に背を向ける。 表情を見られたら気持ちが伝わってしまいそうだったから。 「もちろん見にきてくれるんだろ?大会。」 「それはもちろんです。」 「頑張るよ。」 「そうしてください。」 そう言わなくてもユノ先輩は頑張るだろうけど。 そう言わなくてもユノ先輩はトップだろうけど。 「じゃあ。頑張ってのチュウしようか。」 「………本当スケベですね。」 「もっと言い方がないのか?エロイとか。」 「それもどうなんですか。」 「いいよ。俺はチャンミンに対してはエロイんだ。」 「そんな事威張れる事なんですか?」 全くその通りだけど。 出会った瞬間からエロい事しかされてない気がする。 初めてだったくせに。 やたら大胆な事ばかりしてきて。 「俺は普段演技ばかりしてるから、チャンミンの前だけなんだ。こんなに自分を感情のままさらけ出しているのは。」 「へぇ……。」 僕の前だけでは…って。 少し嬉しい。かも。 「………。」 僕はユノ先輩の前で自分を隠しているのにな。 「な?チャンミン。」 な? 一瞬なんの事だったかと思う。 あぁ。 頑張ってのチュウか。 まぁそれは全然したって構わないんだけど。 もちろんしたんだけど。 ユノ先輩の唇は柔らかくて吸い付くとぷるんとしていてそれに酔うのなんてあっという間だった。 ついでに触り合いっこをして結局最後までシた。 それからユノ先輩は忙しくなって会えなかった。 大会の前日に少しラインをして、それから当日の朝もラインをして。 僕に会いたいと言う先輩のおねだりに僕は応えて舞台前のユノ先輩に顔を見せに行った。 だって。僕にしか素直に自分をさらさないと言った先輩におねだりされたら応えたいって思うじゃないか。 「チャンミン……っ。良かった会えて。」 「どうしましたか?緊張でもしてますか?」 「そうじゃないけど。アレが欲しくて。」 「アレ?」 どこかで見たスケベな顔をユノ先輩はしてた。 「まさかここで?!」 頑張れのチュウをしろと言うのか? 「こっちこっち。」 ざわつく舞台裏でユノ先輩は僕を何処かに連れて行こうとしてる。 多分人のいないところ。 まぁそれでユノ先輩が頑張れるなら構いはしないけど。 まかり間違ってもキス以上の事はしないようにさせないと。 「ユノ!」 その時だった。 ユノ先輩を呼ぶ声に僕達が立ち止まる。 振り返ったユノ先輩。 それを追う様にユノ先輩の視線の先を見た僕。 「………先生っ。」 先生? いや。こんな先生うちの学校にはいなかった筈。 「久し振りだなぁ。ユノ。」 先生って。 もしかしてあの……? 先輩の初恋の先生? ユノ先輩はどんな気持ちだったんだろう。 僕は今日の大会。 素晴らしいユノ先輩の舞台をいつもの様の入り込む事はできなかった。 「チャンミン!なんで今日は先に帰った?!」 ユノ先輩からの電話。 第一声がそれだった。 「……いえ。だってあなた忙しいだろうと思って。」 「はぁ?」 大会の結果は優勝だった。 僕は結果だけ見て先に一人で帰った。 ユノ先輩は優勝して部員たちと忙しそうだったのは確かだ。 取材も来てた。 普通ならユノ先輩にお祝いの言葉を掛けに行ったかも知れない。 でも。 僕はユノ先輩が又あの先生と話してるのを見てしまったんだ。 ユノ先輩の嬉しそうな顔が今でも目に焼き付いてる。 ユノ先輩は好きだった先生に再会してどんな気持ちだったんだろう。 やっぱり嬉しかった? もしかして……。 僕は色々考えてしまい、とてもユノ先輩と普通に話ができる気がしなくて先に帰った。 「待っててくれたら良かったのに。」 「すみません。」 どうして今更。 先輩の初恋の人が現れるなんて。 とても大人な人だった。 ユノ先輩が好きになっただけあってかっこよくて素敵な人だった。 僕みたいな学生とは違う。 って言うか僕とは全くタイプが違う。 ユノ先輩は思い出してやっぱりあの人が好きだと思ったんじゃないだろうか? 「今日は疲れたでしょう?早く休んで下さい。又改めてお祝いはします。」 「チャンミン!」 僕が電話を切ろうとした時大声で名前を呼ばれた。 「チャンミン、変だぞ。」 「そうですか。」 僕は自分でもあからさまに動揺してる事くらいわかってた。 「チャンミンお前先生の事気にしてるんだろ?」 「………。」 ユノ先輩にも気付かれてて当然な訳だ。 「お前が思ってる様な事はないんだけど?」 思ってる事までバレてるらしい。 「第一お前見てただろ?挨拶しただけだし。」 そう。ユノ先輩と先生は確かに「久し振りだ。」と言って挨拶をして、「頑張れ。」と言われていただけだ。 そして別れた。 しかもその後ちゃんと丁度行くはずだった、人のいない所に行って僕達はキスをした。 それだけだったけど。 「でも。いつもエッチしたがる癖にしたがらなかったですよ。」 「は????あの場所でか?」 例え出来なくてもしたがるんじゃないか?いつもなら? 「おい…流石の俺もあの場所ではそれはないんだけど?それで勘違いされるのか?」 「……だって。」 「お前すぐ出て来いよ。」 「え?」 こんな時間に? もう夜ですが。 「会いにこないとは言わないよな?」 ユノ先輩は怒ってるんだろうか? くだらない心配をしてる僕を。 妬きもちを焼いてる僕を。 「いつでも抱かれたいに決まってるだろ?すぐ来いよ。」 僕は体が熱くなるのを覚えた。 そしてすぐに家を飛び出したんだ。

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