第1部 チーム医療
(1)はじめに
病院などの医療機関では、医師・看護師のほか、薬剤師や放射線技師、理学療法士や作業療法士、病院事務職などさまざまな資格を持った専門家が協働して患者に当たっています。 病気の診察・治療は医師を中心に行われていますが、こうした専門職の人々がいなければ、医療そのものが成り立たないわけで、近代の医療そのものがチーム医療の性格を必然的に持つことになりました。 したがって、医師・看護師といった医療従事者に求めれらる資質として、チーム医療に適した協調性やコミュニケーション能力、特に医師はチーム医療のまとめ役としてのリーダーシップが要求されます。 医歯薬看護系学部の入試小論部では、こうした理由によって「チーム医療」に関するテーマが出題されることが多いわけです。 また、チーム医療を医学教育の中心に据えた医大も増えてきています。昭和大学がその典型で、同大学のホームページでは「チーム医療」の特徴を以下のように解説しています。 「医療の進展による高度化・複雑化に伴い、患者さんの多様な問題に対処できる医療の提供が必要になってきました。そのため、様々な医療スタッフが連携、協力して適正で安全な診療・治療・ケアを実践する「チーム医療」が必要とされています。」
それでは、以下の章で、実際の入試問題を解きながら、「チーム医療」の内容を理解し、このテーマを学習する際のポイントについて解説を加えていきます。