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オタクの恋。1

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オタクの恋。1

僕はオタクが嫌いだ。 僕は何故か子供の頃からオタクに見られた。 メガネをしていたし、 天パだったし、 一人が好きだったし、 何でもハマるととことんだった。 気が付いたら周りにオタクがいた。 そいつ等と一緒にされるのが本当は嫌だったんだ。 でもそいつ等と居るのは確かに僕を安心させた。 僕はオタクの要素を十分に持っていたんだからそれはしょうがない事だった。 高校に上がった年の事。 父親の転勤で引っ越すことになりある田舎の高校から都会の高校に編入する事になった。 僕はチャンスだと思った。 髪型を変え、 メガネをコンタクトに変え、 雑誌を見てお洒落に気を使った。 運よく僕は長身だった。 スタイルも悪くない。 新しい学校ではもう僕はオタクの分類にされるのは絶対に嫌だった。 そして。 僕はオタクからイケてる男に変化を遂げたんだ。 僕は新しい学校の教室で一番前の教壇の横に立っていた。 「今日から転校してきたシムチャンミン君だ。皆仲良くしてやってくれ。」 「シムチャンミンです。よろしくお願いします。」 教室からキャーと言う女子の悲鳴が上がる。 男子からはどよめき。 あんなに暗くて学校でも目立たない存在だった僕はこの新しい学校で見事に注目の的になった。 イケメンが転校してきたと。 僕はどうも成功したらしい。 オタクからイケメンへのチェンジに。 「はいはい。お前等うるさーい。シム君は学級委員長の隣に座れ。色々教わるといい。」 教室の窓際に用意された空いてる席が僕の席らしい。 その横に座っていた僕にも負けないイケメンは僕ににっこり笑いかけた。 「キュヒョンだ。よろしく。」 「よろしく。」 キュヒョンは明るい奴で僕に色々教えてくれた。 「昼休みは学校を案内してやるよ。」 「ありがとう。」 すぐに親しくなった僕達。 キュヒョンの友達はこれがまた背が高くてイケてる奴が多く。 僕は思った。 結局イケてる奴にはイケてる奴等で集まるんだ。 僕の様なオタクにはオタクばかりが集まってきた様に。 僕達は一緒に昼食を食べると学校を見て回った。 「すまないな。時間があまりなくて。」 「いやこっちこそ、忙しいのにすまない。キュヒョンの休み時間がなくなっちゃうな。」 「それはいいんだけど。先生に呼び出されてなければもっと案内してやれるのに。」 「後は一人で色々探検してみるよ。」 「あぁ。そうしてくれ。じゃあ又後でな。」 キュヒョンは級長の仕事で先生に頼み事をされてるらしくその後職員室へと消えて行った。 一人残った僕は学校内をぶらぶらして中庭に出た。 「わ……広。」 都会の学校は今までいた田舎の学校と違って規模も作りも学校自体がイケてる様にさえ見えた。 僕は変わるんだ。 この学校でオタクを卒業してイケてる男になる。 中庭の隅でイケてないグループの男子が集まっていた。 僕はもう絶対あのグループには入らない。 僕を女子が見てる。 出だしは好調。 大丈夫。 僕がオタクだった事は誰も知らないんだから。 そして放課後。 僕は新しい環境に少し疲れていた。 多分慣れないイケメンを気取ってるせいもある。 「チャンミン。部活はどうするんだ?」 「あ~…うん。」 悩んでいたのはそこだ。 イケてる男なら運動部に入るのが当然なんだろうけど。 僕は運動が苦手だった。 なんせオタクだから。 「決めていないんだったら同じバスケ部にするか?」 「あ~…いや~。」 出来もしない運動をしてみっともない姿を晒すくらいなら文化部にさらりと入ったらどうだろうか…。 「お~ぃ。転校生ってお前?」 教室の入り口に立っていたのは同じ1年ではないとすぐ分かった。 「ユノ先輩!」 キュヒョンがその人の名前だろう声を上げた。 多分キュヒョンの様子から言って只者ではない事はすぐ分かった。 入り口の上にぶつかりそうなくらいの身長にすらりとした足。 短く纏められた髪は黒くてでも柔らかそうに流れていた。 顔は派手ではなかったけど凄く綺麗だと思った。 誰? 変化を遂げた僕自身。 でも。 僕の人生はこの人によって更に大きく変化していったんだ。 「チャンミンって言うの?」 その人は最初から人懐っこかった。 「どうしてユノ先輩が?」 気のせいか? キュヒョンの目がキラキラしてる。 キュヒョンをそうさせるこの人は本当に何者? 「あ……あの。」 「あぁ俺は生徒会長をやってるチョンユンホ。ユノって呼んでね。」 「は……はぁ……その生徒会長が僕に何か………。」 教室に入って来て僕に近付いたユノ先輩。 生徒会長と言うだけあって堂々としていて貫禄がある。 僕なにかしたか? こんな生徒会長に声を掛けられる程。 転校早々? 「すげぇイケメンが転校して来たって執行部で話題になって持ち切りなんだよね。どれ程か見に来た。」 「は?」 「チャンミンってもうそんなに有名なのか?」 「知らないよっ///。」 僕がそんなに有名になってたなんて信じられない。 だって。 前の学校では全く目立たなかったんだから。 「確かに1年でその身長とその顔。目立つよね。」 僕はユノ先輩にじーっと見詰められる。 「部活は決まってるの?」 「あ………いえ。」 「じゃあ演劇部に入る?」 「演劇部?」 「そう。俺演劇部の部長してるんだ。」 生徒会長で演劇部の部長………。 そしてこの見た目。 この人のこの学校での立ち位置が分かった気がした。 きっとすごく目立っていて。 すごく人気がある。 その注目の人から僕は注目されているんだろうか? 「凄いじゃんチャンミン!ユノ先輩から直々にスカウトなんて!!断る気じゃないだろうな?!」 「だって………僕演劇なんて………できない。」 「大丈ー夫!俺に任せて。」 「いやでも僕………。」 「チャンミン。まさかの帰宅部希望じゃないだろう?」 「とにかく部活の様子を見に来てよ。」 「いや僕………実は美術部に………。」 「「美術部?!」」 キュヒョンとユノ先輩の声が被った。 ヤバい。 やっぱり美術部なんてオタクみたいだったか? 「美術部...。凄くチャンミンみたいなイケメンが絵を描くのも様になるんだろうけど………。」 え?そうかな……。 いい様に取られてる? 「でもいいからとにかく演劇部を見に来て!見るだけ見て美術部にしたっていいだろう?」 いや絶対美術部だから……。 俺は運動なんて出来ないし、人前で演劇なんてもっと無理。 「見ても同じです。」 「それはわからないよ?演劇ってね凄く魅力あるよ?」 僕にはその魅力がわかりそうにない。 基本オタクな漫画や小説は読むけどドラマや映画は見ない。余程オタクなやつは見たりもするけど。基本興味がないんだ。 「とにかく来て!」 「あ…っ、ちょ、。」 僕は強引に腕を引っ張られてユノ先輩に連れ去られた。 キュヒョンを置いて。 演劇部の練習に連れて来られたんだ。 「まぁ見てて。凄いって言わせるから。俺に惚れるから。」 は?/// 何?この人自信過剰? そんな演劇を見たくらいで人を好きになったりするもんか。 それもユノ先輩は男だ。 「この舞台は俺が演出もしてるんだ。」 「そうなんですか。」 特に興味もない返事をする。 「チャンミンは思ってる事が顔に出るんだね?」 「え?あ……///。」 すごく興味がないのがバレタ? 「見終わった後どんな顔をするか楽しみだよ。」 ユノ先輩は右の口角を上げてニヤと笑った。 その顔は少しかっこよくてドキリとする。 ふん。 その自信はどこから来るのか知らないけど。 僕はきっと終わっても同じ顔をしてるんだと思うけどな。 「ちょっと通しでやってみよう!」 ユノ先輩が大きな声を上げる。 部員の雰囲気が引き締まったのがわかった。 今日はイケてるデビューの日で疲れたから。 こんな事してるくらいなら家に帰って乃木坂のDVDでも見たいのにな。 っていか途中で寝ちゃうかも。 そんな感じで僕は始まった舞台を見る為に体育館の床に体操座りで座った。 そして僕は不本意にもアッと言う間にその舞台に釘付けになってしまったんだ。 僕は身動きひとつ出来ず舞台に見入ってた。 それはとっても見応えのある舞台だった。 いろんなことが計算し尽くされてて凄い。 テーマパークのアトラクションのような、世界に入り込んだ感じだった。 そして何よりユノ先輩の存在感。 僕はユノ先輩の演技にどっぷり浸っていた。 ユノ先輩の演じた男性に相手の女性が恋をした様に、僕もまるでユノ先輩に恋をしたような気分になる程、ユノ先輩の入り込んだ演技は僕をのめり込ませた。 それは終わった瞬間、ボーっとしてしまうくらい。 「チャンミン!どうだった?」 一瞬声を掛けられたのも分からなかったくらいだった。 「チャンミンっ!」 「えっ。あ/////。」 「どうだったんだ?」 ユノ先輩はやっぱり自信に満ち溢れた顔をしていた。 ほんのり汗が光ってなんてカッコいいんだ…。 カッコいい? 僕は頭をぶるぶると振った。 カッコいいって。 僕はまだユノ先輩の役の男をユノ先輩に見ていた。 そうそれはユノ先輩じゃない。 ユノ先輩が演じた役の男がカッコいいんだ。 決してユノ先輩じゃないっ。 けど。 演じたのはユノ先輩で。 ユノ先輩が、 やっぱりカッコよく見える……。 「チャンミン入り込んじゃった?やっぱり俺に惚れちゃった?」 「ほ……っ/////惚れる訳ないじゃないですかっ!!僕は役の男にっ!!」 「惚れたんだ?」 ユノ先輩の右の口角が上がるのはどうも癖なのか。 なんせ感じが悪いっ///// 「それって結局は俺にって事だよね?」 く……っ。 悔しい……っ。 この人が言った通り確かに俺は惚れたんだ。 演技していたユノ先輩はカッコよかった。 「………っ/////。」 ユノ先輩は又右の口角を上げた。 「チャンミンって本当に思ってる事が顔に出ちゃうんだね♪。」 僕は自分の顔を手で押さえた。 僕はどんな顔してるって言うんだ? 「チャンミン……。」 「…………/////。」 「ねぇ。どうだった?」 「…………/////。」 悔しいけど。 悔しいけど。 「…………まぁちょっと見直しましたが/////。」 くそっ。 恥ずかしい。 「来て。」 「え?/////。」 僕はユノ先輩に連れられてステージの横の倉庫に連れて行かれた。 「その顔はやばいんだけど?」 「え?」 僕って本当どんな顔をしてるんだ? 僕は又自分の顔に手を添えた瞬間だった。 触れたのが僕の手だけじゃなくユノ先輩の唇が僕の唇に触れていたんだ。 な、 な、 なんで?!?!?!

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