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はなのむかしのはなし11

10人以上が購入

養父は相変わらず夕方6時頃帰宅して、末妹を連れてパチンコに通っていました 勝ったであろう日には末妹が景品のオモチャを手にしている事があり、今となってはお金のない暮らしの中で何とか親として我が子にオモチャを与えてあげたい気持ちは分からなくもないですし、資金源がパチンコである事も悪だとは思いません しかし、当時中学生だった私は「それなら私も文房具が欲しい。通学用の靴が欲しい。何より何か食べたい。ご飯とおかずが食べたい。お昼ご飯のお金が欲しい。」と悶々としていました 養父にとっては血の繋がりのない私と実妹、血の繋がりのある末妹 そこに差がある事は仕方のない事だとは思っていましたが、私は何も悪くないのになとも思っていました 中学は給食ではなくお弁当持参でしたが、実母がお弁当を作ってくれる事は稀で、お金ができた時か、とても気が向いた時くらいでした それ以外はコンビニか食堂で何か買うしかありませんでしたが、当然そのお金も毎日はもらえませんでした 何より、その頃から実母は夜の仕事の後家に帰ってくる事が日に日に減っていきました 不倫相手の家に入り浸るようになったのです 私は朝起きる度に「今日はお母さんが帰っていますように。お昼代をもらえますように。」と願いながら、リビングから実母の寝ている姿を期待して部屋を覗きましたが、いない事がほとんどで身体の力が抜けるほど落胆しました 今日のお昼ご飯どうしよう たまに朝起きて実母がいて「お昼代が欲しい」と言っても「これでいいやろ」と100円玉を1枚ポンと布団に寝転んだまま渡され、それでは菓子パンかオニギリを1つ買えば終わりでしたが買えるだけマシです お弁当を作ろうにも家に何もありませんでした 家での食事ならご飯さえあればあとは何ででも済ませられますが、お弁当は周りの友達に見られます それでも何も食べ物がないのは恥ずかしいので、スカスカのお弁当箱を蓋で隠しながら食べていました 友達の1人に裕福な家庭の子がいて、一緒に出かけた時に千円単位の雑貨を「可愛い」の一言でポンと購入する姿が心底羨ましく、同時に自分がとてもみすぼらしく写り恥ずかしかったです 私はその子に特に家庭の話をしたわけではありませんでしたが、もしかしたら今で言うママ友ネットワークで我が家の家庭環境や金銭事情も知れ渡っていたのかもしれません 私も、話した事のない同級生の家庭事情が耳に入ってきた事もあるので、昔からそういった噂は広まりやすかったのでしょう その友達は私をとても好いてくれ、夏休みには毎日「明日も遊びに来てね」と家に誘ってくれました お邪魔すると綺麗なグラスに入れられたカルピスや、箱ごと広げられたエリーゼやシルベーヌ、アーモンドチョコなどが並べられ毎日パーティーのようだとワクワクしていました 学校でも「一緒に食べよう」と食堂でパンを買ってくれて食べたり、本当は禁止されている帰宅途中の買い食いも「はい、はなちゃんだけね」とみんなにバレないよう100円を渡してくれて、みんなと同じようにアイスやお菓子を買えた事がありました 何故彼女がそこまで私にしてくれたのか、私は今でも不思議でなりませんでした 彼女はどちらかと言うと目立たなくおとなしいタイプで、しかし話をすればとても表情豊かで面白く意外と毒舌で、私も一緒にいて穏やかな時間を過ごせたので、気が合うと感じてくれいたのかもしれません だからと言って金銭的にも尽くしてくれる理由はなんだったのでしょう 可哀想に映っていたのか、助けてあげたいと感じてくれていたのか、クラスが離れ自然と遊ぶ事が減っていき、それを確かめる事もなく交流はなくなってしまいました 私が中学2年生の頃には実母はほとんど夜、家に帰ってこなくなりました それでも養父は実母を責めたり、話し合いをする様子はありませんでした そんな養父の小さな抵抗なのでしょうか 深夜に帰宅する実母を家に入れない為に玄関ドアのチェーンをかけて眠るようになりました

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