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冬恋③

翌日、更に北上してサーリセルカというオーロラの町にやってきた。 極夜。 昼でも薄暗い。 登らない太陽。 白夜の季節にも、また来れたらいいな。 もちろん運命の人と一緒に。 「チェックインまで何しよっか?」 「ここはどんな観光ができんの?」 俺が開いたガイドブックに顔を寄せる。 その唇を見てると、ずっとキスしてたいって思うんだよな。 「臣、どこ見てんの?俺ばっか見てないで、ちゃんとガイドやってよ」 「わぁかってるって、えっと、昨日はトナカイのソリに乗ったから、今日は犬ゾリでいいか?」 「照れんなって」 「え、うそ!俺、顔赤くなった?」 「違うよ。眉毛が片方ヒクッて上がった」 あ、そうなんだ。 隆二くん、お見通しです。 「犬ゾリは時間をぶっ飛ばすだろ、もっとゆっくり楽しみたい」 「それなら近くにあるこのウルホケッコネン国立公園に行ってみようか?」 「道も圧雪されてて分岐点に標識もある様だし、ゆっくり散策できそうだよ」 「いいねぇ!そこ行こう」 昨日も早い犬ゾリより、トナカイのがいいって言ってたな。 密に観光を楽しむよりか、俺との時間をゆっくり過ごしたい感じ? 「隆二!待って、ここのスーパー寄ってこ」 「何買うの?」 「ソーセージ」 「公園の中に小屋があるそうだから、外で焚き木おこして焼いて食べよう」 「おー!いいね!それやるやる!」 前を行く俺の背中に後ろから飛びついてきた。 「防寒着てっから重い💦降りろ!」 「ヤダね」 「なぁ、名古屋にいる時、別れたいって一瞬思ったろ」 「なんで分かんの?」 「やっぱ思ったんだ」 「…別れないからな」 「じゃあこのままおんぶで行け」 「俺の全てが好きなくせに、余計なこと考えんな」 「…」 「ん?どした?」 「俺、またキュン死しそう。もうダメ、歩けない」 「…ったく、ヨイショと」 「重いぞ!頑張れ〜‼︎相棒」 「意地でもこのまま背負っていってやる」 「…好きだよ、おみ」 先に、俺がキュン死した。

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