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冬恋 ②

あっという間にヘルシンキに着いた。 早すぎる。 ちっともイチャつけなかった。 「うー、寒いね」 「今日はマイナス2度ってとこかな」 「臣、最近来たばっかだもんね。可愛い女優さんと」 「現地に着いて、また別の絡みを蒸し返すなよな」 「服、買いに行こうよ!さみぃ」 「お?うん。早くしねぇと、次のフライトまで1時間ちょいだ」 「こっからまた移動すんの?」 「お前あんだけ一緒にプラン練ってたのに、ツアー内容まで吹っ飛んじゃったのか?」 「…覚えてるけど、次どこだっけ?」 「ロヴァニエミ、サンタクロースの町だ」 「そうそう!ホンモノのサンタ見たいって言ったの俺だね!」 「んじゃ早く行こ!スノースーツとかの方がいいかな?」 「ダウンと防寒ズボン、帽子に厚めのマフラーに手袋。 スノースーツはいらないけど、スノーブーツは買っていこう」 「詳しいね」 手を取る前に、俺がしてきたマフラーを奴の首に巻いてやった。 「ありがと」 「ん、手ェ貸して」 「はいよ」 しっかり掴んで離すなよ。 …って、俺が言うなってか? 「よし!行こう」 北極圏の町・ロヴァニエミ。 サンタクロース村も近い北欧最大級の「全て雪でできたホテル」 アークティックスノーホテルに着いた。 ホテルの周辺は一面の銀世界だ。 白に光が反射して、幻想的な風景が広がっている。 流石にラップランドまで来ると気温もグンと低くなる。 運が良ければオーロラが見えるかも。 いや、俺まだ寝足りないから、オーロラ待てないかもな。 明後日は更に北上して、オーロラの町に行くんだ。 焦らなくてもいい。 完全防寒のツレは、わずかに外に出てる頬を紅潮させて、完全に舞い上がってる。 「臣!臣!見てよ!犬ゾリだ!あっちにはトナカイがいるよ!」 まるで少年… 俺の目の前に立って顔を近づけてきた。 「ねぇ、サンタどこ?いねぇよ!」 だから、その子供みたいなキラキラした目で見んな。 髭面だっつーのに、どんだけ可愛いんだよ。 「ねぇ!聞いてる?」 「焦んなって。サンタは明日会えるから、先にチェックインしよ」 「トナカイも?」 「明日な」 「わかった、寒いね!早く入ろう」 フロントがあるロビーはとても温かい。 チェックインしてから荷物を預けて、 カフェでホットドリンクを注文した。 「夕食食べたら先にシャワー済ませて、ああ、あとトイレもな」 「うん」 「あの扉の向こうにアイスバーがあって、そこから雪と氷でできた部屋に入るんだ」 「寝る前に一杯やってから寝よう」 「アレだよね、氷のベッドで寝るんだっけ?」 「寝袋に入ってな」 「一人一つの寝袋だろ?」 「だろうな」 「じゃあ今夜は我慢の夜だね。臣、ご愁傷様」 「そうだな。今夜は交われない」 せめて暖め合って眠りたいんだけど… シャワーを済ませてアイスバーに入り、氷のショットグラスに注がれた酒を飲む。 「ちょっと待ってて。もいっかいフロント行ってくる」 「なんか忘れ物?」 「充電とかさ、聞いてくる」 「行ってら!早く帰ってきてね」 「お、おう」 ホントは臣、今日Hしたいんだろな。 わかるけど… 流石に氷のベッドじゃ無理でしょ。 あれ? もう帰ってきた。 「iPhone貸して。やっぱフロントでしか充電できないって」 「そうなんだ」 「これ、レンタルしてきたから持ってて」 「なにこれ?」 「吸湿発熱素材のインナーとフリース」 「くつ下は?」 「裸足で充分だって」 「寝袋一つしかねーじゃん」 「大きいの一つあればいいだろ?」 iPhone二つだけ手に持って、また出てった。 くっついて寝る気なんだ。 えーっと… いつから肌合わせてなかったっけ? 「さみぃ、早く寝袋入りたいよぉ…」

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