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一浪するってどう?65ありえない知らせ66上か下か67可能性の無い大学68願書と

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65話 ありえない知らせ

それはH大学入試の1回目が終わった夜だった。 イケメン先生に立て直してもらったイチローは 「H大の数学、とてもできたよ!」 と明るく帰宅した。 荷物を置いて、着替えるために 一度部屋に入ったがなかなか出てこない。 しばらくして部屋から出てきたら 今度はひどい溜息をつきまくり、 投げやりな態度を取り始め、 ソファではなく、リビングの床に寝転がり クッションを使わずに頭を床につけて固まっている。 そして何も言わず、ただため息だけを繰り返す。 そしてそのまま 立ち上がれなくなってしまった。 最初は、入試の疲れが出たのかな? 今日のテストはできた!という安堵感と、 家に帰って緊張が解けた事が相まって 一気に疲れが出たのかな? と思って声を掛けずにそっとしておいたけど・・・ いつまでも、これ見よがしに繰り返される 大きなため息に、さすがの私も 「どうかしたの?」と声を掛ける。 イチローはそっぽを向いたまま 「1日の大学落ちてたわ。」 と機械の声のような感情の無い声でそう言った。 「え?今なんていった?」 私は驚いて聞き返す。 「だから、1日に受けた大学 落ちた。」 今度は少し腹立たしいような、 感情の込められた声だった。 1日に受けた大学、というのは 私が昔から好きな大学だ。 1日、2日と受けたけど、1日のほうに自信があり、 イケメン先生に採点してもらったら、 物理が8割5分~9割近くとれていて 英語や、数学の様子からみても、 「合格最低点が例年と同じ50%程度であるなら、クリアしていると思う。」 とイケメン先生の判断が下った大学だった。 そこがダメだったというのか。 そ、そんな・・・。 R大のR学部はずったずたで   R大学のK学部はダメながらも惜しい感じで R大のKK学部はもうちょいってところまで行って、 H大も数学が超いい手ごたえ(物理は微妙だけど)で ダメながらもちょっとずつ 向上していく気分だった。 今までは実力を出しきれない感じがあったけど、 だんだん波に乗れてきたし、 これから、これから! と そんな風に思っていた。 ・・・そう。   このありえないお知らせを聞くまでは。 イチローは部屋に入って、 ネットの発表を見たらしい。 私が好きな大学の合格発表は、 実は昨日あったのだ。 普通は発表されるや否やすぐに見るのかもしれないが、 ウチはお試し大学の不合格が思った以上に他の受験に響いたので、 明日受験、という日は  合格発表はもう見ないことに決めていた。 明日、明後日とイチローに受験はない。 先生にも報告しなくてはならない。 そりゃ見るしかないか・・・。 イチローも先生に採点してもらっていたので 軽い気持ちでアクセスしたに違いない。 それが・・・まさか不合格だったとは。 「あー、もうダメだ。 何やったってどこ受けたってだめさ。 もうどこも受からない。 あんなにできたと思ったのに。 答えだってあっていたのに。」 確かにそうだ。 採点してもらってる。 思い込みや勘違いじゃない。できたんだ本当に。 そりゃ、 今年は問題が簡単で合格最低点が上がったとか、 倍率がすごかったとか、 答えを書き写してこなかった数学で 実はミスを連発していたとか、 考えられることがない訳でもないけれど それら全部が同時にでも起こらない限り、 合格できるくらいの点は十分取れているはずだった。 でなければ イケメン先生が 希望を持たせるようなことを言うわけがない。 ふと、イチローが1日に帰ってきたときに 言った言葉が頭をよぎる。 「名前書くの忘れててさ、鉛筆置いて、 と言われてから書いたよ。 不正行為とみなされていないと思うけど。 数学は最後に解答ずれてるのに気づいてさ、 直したからよかったけど。」 不正行為とみなされた? ずれてるのは勘違いで要らぬことをした? とにかく不合格 これだけが揺るがぬ事実だった。

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