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お手伝いからの〈学び〉の発展―「自己有用感」と「食育」―

この夏休み,家庭内の取り組みとして「お手伝いお当番さん」((当番の主な中身は家の掃除や片付けです。皿洗い・玄関掃除・埃取り・トイレ掃除・各部屋の掃除機掛けなど。))を行っています。どのようにすれば効率よく当番の作業ができるのかを自分たちで考え実践するこどもたちの姿は,とても頼もしく思えます。こどもたちも私も徐々にきれいになっていく家の様子を見ながら,それぞれがそれぞれの作業を行い,終わった後の達成感も心地よい。日々の「お手伝いお当番さん」は順風満帆に捗はかどっていたのです。

そんなある日,息子(軽度自閉スペクトラム症)が新たな「お手伝い」の提案を口にし始めました。

その「お手伝い」とは…

〔あわせて読みたい〕 夏休みに家族で取り組む「お手伝い当番表」 https://wordpress.tanjito.ne.jp/?p=10395

目次 1 「当番表」の修正付記 2 息子からの要望 3 晩御飯づくりにチャレンジ 4 「食事のあいさつ」に込められる思い

1 「当番表」の修正

夏休みに家庭で取り組む「お手伝いお当番さん」。この取り組みで使用する「当番表」を塾長に拝見していただき,とても素敵なアドバイスを頂戴しました。

塾長:「この当番表そのものに,お手伝いをしたことの評価が視覚的に把握できるような工夫を入れ込んだら? そうしたら,もっと楽しくお手伝いができるのでは?」

さらに,お手伝いに取り組む娘からの指摘もありました。それは,「お手伝いの内容が文字で書かれているため,何をするのか分からない」という内容でした。

したがって,早速「当番表」の修正に取り掛かったのです。

修正した箇所は2点。 1 評価のために似顔絵を描いたイラスト磁石を追加 2 お手伝い項目(表の縦軸)にイラストを追加 それにもう1点,各人の名前の代わりに用いていた似顔絵マジックをひらがなに変更してみました。

名前を似顔絵イラストからひらがなに変更した理由は,娘が自分の名前をひらがなで書く練習をし始めたからなのです。塾長がご指摘くださった,文字の「読み」「書き」の学習にもつながることを考えて,名前をひらがな表記に改めました。ただ,家族みんながひらがな3文字の名前であるため,名前が記載された「当番表」をパッと見ても区別が付き難いかもしれないことを想定し,名前を色別で表記することにしました。

次に,お手伝い項目にイラストを追加した理由をもう少しだけ詳しく述べます。息子は,習っていない漢字でもイメージで読めるという特性があります。(わからない時は,ちゃんと訊いてきたり調べたりしています。)ですが,娘はひらがなの読み書き練習を始めたばかりなので,当番の何をして良いのか理解できず,毎回「今日のお当番はどこですか?」と聞いてきます。ところが,どうもその「聞く」という行為そのものが嫌なようで,端から「分からんもん!!」と不貞腐れることがありました。

娘の心境として「私だけが(当番の何を行うのか)わからない…。」という孤立感を抱いていたのだと推測できたのです。息子と私は,「当番表」を一瞥すれば,何のお手伝いを行うのかを認識できるのですが,娘だけが理解できないという「仲間外れ」の状態にあったわけです。これでは娘が抱いていた折角の主体性(自主性)を損ねることになってしまいます。こうした理由から,家族みんなで取り組むための「一体感」を一人ひとりが感じられるように,お手伝い項目にイラストを追加することにしたのです。

さらに,お手伝いを終えたところに,似顔絵イラストを貼った磁石を置くというひと手間を加えることに。

この作業によって,その日のお手伝いの中で終えたものと終えてないものとの見極めが容易につくとともに,全お手伝いの終了時には,全て終わったという達成感を視覚を通じても感じることが出来るようになりました。

トークンシステムの「お手伝い」の欄も2列に区切ることにしました。毎日,各人2種類の「お手伝い」を熟こなしているので,それらを完遂すれば,2つのシールを2列に区切られた一マス一マスに貼っていきます。こどもたちは日に日に貯まっていくシールが楽しみのようです。

塾長:「お手伝い」を完遂することは第一目標ですから,「お手伝い」を終えたら表内に似顔絵イラストマジックを付けることに意味はあると思います。自己に与えられた役割分担の責任を果たすことは大切なことですから(責任感の育成)。昨今,教員の世界でも矢鱈「協働性」が叫ばれます。―このことは,裏返せば,これまでの教員の世界は,「協働性」が希薄であった左證でもあるのですが。―確かに,AI時代を迎えている現代の有する喫緊の課題として,他者と協働できる能力は必須と言えます。したがって,他者と協働するためには自らの役割に対する責任遂行能力が必要なわけで,そういう意味において,本取り組みは有意義であると言えるのです。 塾長:さらに,評価に絞って述べれば,例えば,各人の似顔絵イラストマジックに「ニコニコ顔」「普通の顔」「悲しい顔」などがあれば良いと思うのです。つまり,「お手伝い」がよくできたときは「ニコニコ顔」,あまりよくできなかったときは「悲しい顔」,それ以外は「普通の顔」というように,「お手伝い」の出来具合に応じて付ける似顔絵イラストマジックを変えるのです。 塾長:それを誰が評価して「ニコニコ顔」「普通の顔」「悲しい顔」にするのかと言えば,まずはその「お手伝い」を担当した本人が行い,表内の指定の場所に付けるのです。評価には他者評価などいろいろな種類がありますが,評価の基本は「自己評価」です。最初に行為者自らが自らを振り返る。この力が大切なのですね。次の発展のために。その上で,自己評価された評価を見て,他の者が評価する(他者評価)。そこで,「自己評価」の修正が必要であれば,当該の行為者が評価の修正を図るのですね。「自己評価」や「他者評価」を通して,良くできているところは今後も伸ばす,できていないところは改善する。このように評価能力を養うことは,自己成長のためには必要なことなのです。 塾長:その際,「自己評価」したその理由を他者に説明するともっと良いですね。他者もその理由を聴いてより的確に「他者評価」できるようになりますから,評価そのものの精度が上がるわけです。勿論,「他者評価」する評価主体も評価の理由を述べるべきですよね。 塾長:えっ,「そんな面倒臭いことをこの忙しい毎日の中でできるものか!」ですって。その発言って,自己中だと思いません? 可愛いかわいいお子様の学習の機会を奪っていますよ。10分でも,5分でも「評価の時間」を取れませんか?

「お手伝いお当番さん」に取り組むことにより,息子と娘の自己有用感が育まれていると考えるのです。

付記

この「お手伝いお当番さん」は「一家団結」をも企図したものです。「一家団結」とは,結局,自己と他の家族構成員との親密な関係性を一層堅固にすることです。つまり,〈他者性〉を重要視した取り組みなのです。(a)

そうした視点に立った時,数多くある世の中のブログ等において「自尊感情」,「自己肯定感」,「自己存在感」及び「自己有用感」などの概念語が示す概念範疇が的確でないものを散見するようになりました。そこで,ここにおいて,文部科学省 国立教育政策研究所 生徒指導・進路指導研究センターの考え方を引用し,それらを整理しておきたいと思います。

その他,前掲の「生徒指導リーフ」には,次のような記述があります。

「◆日本の児童生徒の場合には、他者からの評価が大きく影響する。」 「◆ 「褒めて ( 自信を持たせて ) 育てる」 という発想よりも、「認められて ( 自信を持って ) 育つ」という発想の方が、子供の自信が持続しやすい。」 (前掲生徒指導リーフ18)

「◆他者の存在を前提としない自己評価は、社会性に結びつくとは限らない。」 「◆「自己有用感」 に裏付けられた「自尊感情」 が大切。」 (前掲生徒指導リーフ18)

つまり,これら4つの記述(◆)に通底している考え方に〈他者性〉が認められるということです。(b) そういう意味において,(a)及び(b)から「 「お手伝いお当番さん」に取り組むことにより,息子と娘の自己有用感が育まれていると考えるのです。 」と既述したのです。

さて,そうこうしているうちに,ある日のこと,息子の新たな成長を物語るある動きが起こったのです。

2 息子からの要望

最近,ありがたいことに,勤務後,帰宅して2時間後にはまたパソコンの前に座って仕事をするという機会が増えています。勿論,自主的業務です。そのような私の姿を見ていた息子が少し前から私に言っていたことがありました。

「母ちゃん!! 僕がご飯つくるけん,仕事をしていいよ!!」

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