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二浪日記 どこで落ちこぼれたのか 37話~40話 高校3年 夏 転塾?AO?

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今回は 37話 母、合格保証の塾からのDMに揺れる。 38話 母、イチローの勉強の邪魔をする。 39話 担任の提案する受験対策 40話 担任の大失敗 を公開します。 37話は無料公開です。どなた様でもこのままお読みいただけます。

37話 母、合格保証の塾からのDMに揺れる。

イチローが高3の6月の末、 ウチの郵便受けにA4サイズの封筒が届いた。 それは予備校からのダイレクトメール。 でもそれは ちょっと普通のと違っていた。 そのダイレクトメールは 封筒の表面、 宛先を書くところに 大き目の黒文字でかなりびっしり 塾の特徴が書かれていたのだ。 まるで封筒に直に手紙を 書いているかのように。 それは〇合塾や〇台と比べると マイナーなその塾が、 DMの封も開けずに 捨てられてしまうことを恐れて 必ず目に留まる場所に どうしても言いたいことを 書いているように思われた。 その予備校の名はM塾。 今のM塾とは随分違っているようだけど 当時は 文系限定の早慶合格保証の塾だった。 そして校舎は少なく、 M先生ご自身も結構授業を持っていた。 その封筒にあった文言は 簡単に言うと 入塾試験はありません。 やる気は必要ですので面接はします。 つまり必要なのは本人の気持ちだけ。 ウチの塾でちゃんとやれば 早慶に合格できます。 もし、合格できなかったら お金をお返しします。 と言うような内容だった。 塾長が自分の受験成功のノウハウを そのまま伝授する、みたいな話で、 授業を行うだけでなく、定着の 自習までも面倒見てくれるという ありがたーい仕組みの塾だった。 あと、 指導できる人数には限りがあり 今から入塾できるのは 〇名のみというようなことも 書いてあったと思う。 M塾のことは ネットで見つけて 前から知ってはいたけど 文系限定の塾、ということで 興味はありつつも あまりよく調べてはいなかった。 通常、大手予備校では 早慶コースに入るには ある程度の偏差値が必要だ。 つまりイチローなんか 早慶に入るどころか 予備校の早慶コースにすら入れないのが現実なのだ。 現役の今はもちろん、 一浪したとしても目指すことすら できないだろう。 でもM塾は違うらしい。 いるのは「本人のやる気」のみ。 入塾時の成績は問わないのに 保証までつけちゃうところがすごい。 それにこのタイミング。 イチローの数学が2点と低迷し 理系進学に悲観的になっているところへ 早慶の合格保証のお知らせだ。 母の揺れ方は半端なかった。 だいたいさ、 3月ならわかるけど もう7月になろうっていうのに なぜこの時期に高3に配るわけ? ウチの状況が予備校側にリークされているんじゃないかと思うくらいのドストライクだった。 このDMの受け取り対象者が気になった私はこの地域に配ったのかもと思い、 幼稚園と小学校が一緒の子で地元中学から高校受験組で私立の進学校へ進学した近所の母友に電話をかけてみる。 「ねぇ、〇ちゃんとこさ、M塾からDM届いた?」 と聞くと、母友は 「ううん。届いていないよ。」 と、私の想像と違う返事をしてきた。 あれ? ここら一体の高校3年生にまいたDM じゃないのか。 私は〇ちゃんママに簡単にその塾の内容を説明し、どう思うかを尋ねながら、 「もしよかったら一緒に説明を聞きに行かない?」 と誘ってみる。すると〇ちゃんママは 「そうなんだ。そんなDMが届いたんだ。ウチには届いていないから、中学受験した子に送っているのじゃない?確かに合格保証ってどんなのだろうとは思うね。話を聞いてみたい気もするけど、文系限定なんでしょ、ウチは理系だからダメだな~。」 という返事。 これを機会にいっそ文転する? と考える親は 私くらいのものらしい。 地域にまいたのでないとすると どのルートでウチの 住所と名前を知ったのか。 N研卒情報あたりかなぁ? 確かN研を卒塾するときのアンケートに 大学受験に関する情報がほしい というところに〇をつけたような気もするし・・・ そんなルートか?? 私はイチローの通う高校で N研卒の子を持つ母友に 同じような電話をかけてみた。 でも 「ウチには届いていないわ。」 と言われてしまう。 その子も理系進学なので M塾に転塾することはないと思ったけれど、一応、この塾についてどう思うか聞いてみるとやはりなんの興味もなさそうな冷めたリアクションだった。 M塾の校舎はそんなに多くないので DM対象は中学受験組でも、 校舎の近くの子なのかな。 と、今度はその条件に合った 母友にも電話してみたけど やはり届いていないという。 そこの子は 推薦で大学進学を考えているので 母は予備校全体に興味なさげで 「へー、そんなのあるんだー。」 で終了だった。 早慶の合格保証をする塾というのは 当時珍しく他には聞いたことがなかった。 なんでそのDMがウチに来たのかは 結局謎だったけど もう高3の夏だというのに こんなDM送り付けてきたってことは 今からでも間に合うってことだよね? イチローは 高2の物理で9点を連発し、 高3の数Ⅲで2点をとっている。 今後もどうなるかわからない。 このまま理系でいいのか迷うけど、 今更の文転にもかなりの不安があった。 でも、今からでも間に合う、 それも合格保証するようなノウハウもある、というのなら 思い切って文転してもいいような気がしてくる。 私は封筒をあけ パンフレットをみて 手紙を読んだ。 体験授業ができるらしく 4日間ほど予定日が載っている。 人数は限定で先着順。 ただ体験授業が 期末テストとモロかぶりの日程だった。 何この予備校 高校生のスケジュールを知らないの? 多少のずれはあると思うけど どの高校でもその時期は 期末テスト前か最中であるだろう。 なんでそんな日に設定するのだろう。 馬鹿げていると正直思った。 まあ、若干名というのは きっかけ作りの常套句だろうし 日程は事情を話せば ずらしてもらえるかもしれない。 私は塾に電話をかけてみた。 事務受付のような人が出たので、 DMが届いて、 体験授業を検討していると告げると 体験日程の予約の空き状況を調べてくれた。 空いているのは 〇日の〇時からと  ×日の△時からだけですね。 と言う。 その日は期末テストなので 別の日にしてくれないかと言っても それはできません、 と取り付く島がない。 何名入塾できるのかと尋ねると 「若干名ですね。」と 杓子定規な答えが返ってくるだけだ。 前の日程の子が入塾を希望したら 極端な話、 入れない可能性もあるというのだ。 理系も見てくれるならまだしも、 文系専門というこの塾に、 卒業をかけた(?)大切な期末テストを犠牲にしてまで、体験に行く意味があるのかを見極めなくてはならなくなった。 私はダメ元で 理系のコースはないのか 数学や英語を受けて理系を受験するのはだめなのかと聞いてみたが向こうは検討の余地すらないようでキッパリと断られた。 では、 ウチの子は理系選択をしているが 今から文転する、とういうのであれば そういう状況の子でも この時期から受け入れてくれるのか、 と聞いてみたら それは構わないという返事だった。 入塾テストもせずに 高3の夏から文転する子がそこで勉強しさえすれば、早慶の文系に合格する可能性があるというのか。 胡散臭いといえば 非常に胡散臭い話だ。 とにかく。 理系からの文転でも構わないし 入塾のペーパーテストはない。 でも、この指定の4日間のうちに来塾して 話を聞かないとダメ 他の日はない。 と言うことだった。 うーん。 本人に聞いてみるしかないか・・・。 私はイチローの部屋のドアをあけ、 机に向かって勉強しているイチローに 声をかける。 イチローは 机から顔を上げずに 何ー、と返事をした。 「ねぇねぇ、早慶に合格保証のある塾があるんだけどね、すごくよさそうなんだけど、文系だけなんだって。」 イチローはちょっとだけ顔を上げてこちらを見ると 「理系はないの?じゃあダメじゃん。」 と言ってまた机に目を落とす。 そ、そうなんだけどね。 「イチローは文転する気は少しもないの?」 「ない。」 彼はきっぱりとそういった。私みたいにぶれてはいないのだった。 そして、 「もうこれだけ数学を勉強したんだから理系に行く。」 今度は振り向きもせずにそういった。 「だよね。そうだよね。 でもさ、今から文転しても間に合うっていうのよ。 そりゃ、なにかからくりがあるんだとは思うけど、一応、話だけでも聞いてみない?」 イチローは なんだよ、うるさいな、 と言う感じでペンを置き、こちらを見て 「いつ?」 と聞いた。 「それがね、期末テストの日程と被っちゃっててね。」 「じゃあ無理じゃない。ほかの日はだめなの?」 「聞いてみたけどだめなんだって。」 「じゃあ行かない。」 「でもさ、1時間もあれば終わるのよ。試験で疲れているのもわかるし、次の試験の準備もあるし、望ましくないのはわかるけど・・・。」 あーだし こーだし そーだしさ・・・ 結局、私にごり押しされた形で イチローはしぶしぶ体験に行くことになった。

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